「飛ぶ教室」長崎訓子編集号 漫画の子どもたち について

「飛ぶ教室」長崎訓子編集号 漫画の子どもたち について

おはようございます。マンバ通信編集部の伊藤ガビンです。

またまた遅いニュース的な記事のお届けです。
「ニュースは鮮度が命」みたいなことをみなさんおっしゃいますが、自慢じゃあないけれど、うちのニュースは遅いよ。もうめちゃくちゃ遅いから。ニュース界でまさかのスローライフを実践ですから。

どのくらい遅いかというと、今から書くのは雑誌の発売ニュースなんですけど、うかうかしてたらもう次の号が出てたという……。

ま、いっか。

というわけで「飛ぶ教室」(光村図書)の、ひとつ前の号を紹介します。

長崎訓子編集号 漫画の子どもたち

です。(いま出ているのは、「飛べ、おとうさん!」特集なんだけど、これも面白いよ)

「飛ぶ教室」って児童文学雑誌なんですけど、この号では漫画を特集してるんですね。
そして、イラストレーターの長崎訓子さんが特別編集長!
いやあ、これ素晴らしかったんスよ。

わあ、素晴らしい、紹介しよう。でも季刊だからゆっくり書けばいいでしょ。
とか思ってたら次の号が出てたんですよ。こんなカタチで季節の移ろいを感じることになるなんて……。

マンバ通信というこのサイトは、マンガを語ることの助けになる情報を提供したいと思っていましてね、まあそれは僕自身が、マンガそのものと同じくらい、マンガを語っているものが好き、というのがあるからなんだけど。
なので、ニュースではマンガの紹介じゃなくて、マンガを語っているものを紹介したいと思っているんですね。

で、今どきは、あっちの文芸誌でマンガ特集、こちらのファッション誌でマンガ特集、という具合にマンガ媒体以外でのマンガ特集がどこかで常に掲載されているという状態じゃないですか。だから、そういうものを逐一報告したいナ~と思うんだけど、いざ購入して読んでみると、「やっぱ、いっか」みたいになること多いんですよね。理由はいろいろあるんだけど、一番大きいのは、「これ今のマンガの話じゃなくないですか?」ってことかしらん。

すでにマンガをあまり読まなくなってる読者に対して、かつて読んでいた頃の記憶を土台に誌面づくりをしているように感じることが多いからかな。

だけど「飛ぶ教室」の長崎訓子さん編集号は全然ちがったんですよ。
目次見て!

〈対談〉
「漫画を描くということ」 くらもちふさこ × 長崎訓子

〈漫画〉
「無人野菜販売所」 いがらしみきお
「タゴールの『妖精』」 森泉岳土
「シホちゃん死なないで」 つばな
「マンガみたいなはなし」 ヨシタケシンスケ
「短日の音」 衿沢世衣子
「焼かれた魚」 長崎訓子

〈インタビュー「わたしと漫画」〉
石黒正数
阿部共実

〈漫画のすすめ〉
「漫画と日曜日」 森山裕之
「大人こそ漫画を読まないとダメなのかもしれない」 トミヤマユキコ

〈コラム〉
「私の好きな“ユーモア”作家たち」 上條桂子

〈漫画遍歴〉
「長崎家の本棚」

〈編集後記〉
長崎訓子

今のマンガだー!
ね?

漫画とかインタビューの人選、これは今のマンガを読んでいる人のものだなあと思ったんです。長崎訓子さん、そんなにマンガ読んでるのか、と。

そしたら「長崎家の本棚」ってページに本棚の写真が載ってまして。

飛ぶ教室 第48号(2017年冬) (長崎訓子編集号「漫画の子どもたち」) より。写真 / 細川葉子

すごい読んでるワ~てなりました。

だからみんな買うといいヨ(ひとつ前の号だけど)、というお話なんですが、実は長崎訓子さんは女子美術大学というところでキョーベンをとっておられまして、僕も同じ大学の違うキャンパスにおりまして、つまりゆるやかに同僚なんですね。というわけで、いくつか気になったところをメールしてみたら、非常に丁寧なお返事をいただきました! ありがてえ。

以下はその内容です。

・人選について

マンガ家の人選についてにお聞きします。すごくいいなーと思ったのはマンガ家の人選です。

僕も愛読している方々はもちろん、知らなかった人もとても面白くて、これキッカケで単行本を買ったりしました。
なので、人選についてお伺いしたい。

どのように決められましたか。新しい作家が多かったと思いますが、どのようにそうしたマンガと出会うのか(マンガの読み方)、あたりをお聞かせ願えると楽しいです。

漫画家の人選については、インタビューと創作と、かなりこだわりましたのでとても嬉しいです。
単純に私が大好きな作家だということが一番の大きな理由ですが、その人について、私自身が責任を持って魅力を語ることができる
(著作をほぼ読破している、リアルタイムでずっと追っている、など)
作家さんたちにしたいと思いました。

また具体的には、物語をしっかり綴る作品スタイルで、絵柄もニュートラルな存在感を持つ作家、ということも考えました。

「飛ぶ教室」が児童文学の場ですので、今回の企画については、あまりトリッキーではない方が、漫画を読まないような読者にも親しみやすいと思いましたし、全体が良質なジュブナイル的なものに仕上がるのではないか、という期待もありました。

漫画の読み方ですが、日々の積み重ねというか。笑。

以前は週刊誌でも月刊誌でも、連載などは気にせず、とりあえず買ってみる、ということをしていました。
3、4号買い続けると大体の様子がわかるので、気になったらしばらく購読したりも。

最近は、インターネット上で試し読みができるものが多いので、そこでチェックできるので楽になりました。

出版社のウェブマガジン、電子書籍の漫画サイト、などで気になればジャンルは関係なく何でも試し読みします。

ブックガイドのようなものはあまり参考にはしないかも。

電子書籍については、抵抗はありませんし、もう本を置くところもないので移行したい気持ちもありますが、
「これ面白いかったよ」と身近な人にさっと本を手渡すことができないことに気づき、なんかちょっと違うのかなとも思っています。

古本屋や某ブッオフをパトロールしたりもします。

・本棚について

本棚衝撃的でした。写真のインパクトがすごい。そこでマンガと本棚に関して少しお伺いしたいです。

子供の頃から今までの読んだマンガをどうしてきたか。捨てないというポリシーなのかどうか。など。

本棚の全貌も知りたいです。家の中でマンガの棚がどう主張しているのか……面倒くさくなければ見取り図とか。。

子供の頃からの漫画は、自分の独立や実家の建て直しなどで、本当に大事なタイトルだけが生き残っている感じです。
コレクションしているような人たちに比べればスズメの涙かも。

いつごろから増えたのか?というと、いわゆる大人買いというか、ある程度自分でお金を自由に使えるようになってからでしょうか。
この本棚(置く場所)が出来たせいかもしれません。

本棚については添付しましたが、作りつけで壁いちめんです。
とはいえ、全然入りきらないのでだいたい3層になっています。

 

奥の方にしまってしまうと、あの漫画どこだったっけ?となり、今回の撮影で三国志(60巻)が発掘されて良かったです

そんなわけで、実際の所蔵数は「写っている×3」くらいあります。

たまに処分するようなこともありますが、なんだかんだで捨ててはいないですね。

以前、事務所を借りていた時に
「仕事場には漫画は持ち込まない(読んじゃうから)」とルールを決めていたので、結果、自宅が漫画倉庫のようになってしまいました。

「飛ぶ教室」掲載の見開きの方の本棚は仕事場(今は自宅の別室)のもので、こちらは撮影用に漫画を並べました。通常は、自分の仕事関係の本を中心にした書籍が入っています。

未だに仕事場の方の本棚にはなるべく漫画は置かないようにしています。(なんとなく

・長崎さんの描くマンガについて

最後に長崎さんの描くマンガについての質問です。

 

インタビューの中でいろいろなマンガの模写・研究の話がでてきますが、ご自身がマンガというスタイルで描く時に、特に意識したことはありますか。

いわゆるマンガの文法をあまり利用していないのに、きちんとマンガになっているというバランスが素晴らしいと思って毎回読んでいるのですが。

なにか心がけていることなどがありましたら教えていただけるとありがたいです。

最近、やっと自分の漫画についてなんとなく見えてきたというか

イラストレーターの私が描く漫画が、ただの自己満足にならないようにするには?
ということを1冊め(Ebony and Irony)から気にしていました。

ページの中に動きや仕掛けを組み込んで、視覚的に面白くしたいというのはあります。
そこはイラストレーターの矜持です。

ただ、絵作りに集中しすぎると、自分にとっては漫画ではなくなってしまうので、目線の流れや、セリフ(物語)を追うことの面白さは絶対に無くさないよう、気をつけるように心がけています。

そして、そこが一番難しいです。

とのこと!

「飛ぶ教室」もオススメですが、長崎さんのマンガもさい高なんでオススメですよ。

太宰治川端康成夢野久作、倉橋由美子、星新一などの名作小説をコミック化した『Ebony and Irony 短編文学漫画集』

Ebony and Irony 短編文学漫画集

夏目漱石、佐藤春夫、モーパッサン、梅崎春生、海野十三、向田邦子、横光利一など世界の珍妙な話をコミック化した 『marble ramble 名作文学漫画集』

marble ramble 名作文学漫画集


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