月刊MdNが『マンガ雑誌をMdNがつくってみた』という特集でマンガ雑誌をつくったと聞いて[後編]

2017/08/15 11:34

この記事は、
月刊MdNが『マンガ雑誌をMdNがつくってみた』という特集でマンガ雑誌をつくったと聞いて
というニュース記事の後編になります。ニュースなのに後編っていったいなにが起こっているんだぜ……? と思われた方は、前編から読んでいただけると吉とでてます。

いちおう前回をおさらいしておくと、

デザイン雑誌の月刊MdNが、「マンガ雑誌を作って付録につける!」という大胆な企画を実行に移したところからはじまります。いつもちょっと様子のおかしい特集の多い月刊MdNですが、労力が半端ない。しかもテーマがマンガ雑誌ということで、こりゃニュースにするしかないな、と思ったんですよ。

で、軽い気持ちで編集長の本信さんにコメントとっておくカーとご連絡さしあげたところ、めっちゃ長いのが送られてきたばかりか、「後編へ続く」と書かれてたというもらい事故みたいなことが起こったのでした。

しかも、質問に答える前にその前提として本信さんの「編集論」的な内容が熱く語られる、という内容でした。コメントなのに、写真が豊富に添えられてキャプションもついてました。編集者の業……。

さて、後編はどうなるのでしょうか。月刊MdN 本信編集長のコメントの続きをどうぞ〜!


さて今回は下記のことについて紹介すると、お伝えしました。
【1】なぜ『COMIC MdN』というマンガ雑誌を作ろうと思ったのか?
【2】どういうマンガ雑誌にしようと思ったのか?
【3】作家の人選は?

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ここでさっそく……申し訳ございません!

【1】なぜ『COMIC MdN』というマンガ雑誌を作ろうと思ったのか? に関しては、前回、お伝えしてましたね。
そして、結論は「わからない」だったという……(読み返してみると、「わからない」ばかりで、ひどい原稿だった!)。

でも補足すると「わかる企画」ってダメな気がします(「わかる」≒「どんな記事になるか、作る前からわりと想像できる」という感じです)。「わかる」という時点で手垢の付いた企画ということですから。「わからない」けど「売れそう」と思えることを全力でやるのが正解だと思っています。
って自分はそんな売れた本って作ったことはないんですけど!

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ということで次。
【2】どういうマンガ雑誌にしようと思ったのか?

これ、説明しだすと長くなるので後回しにします。
編集者の企画立案の考え方をなるべくわかりやすく書いてみたつもりなので、ご興味のある方はこの記事の後半をぜひ読んでみて!

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そして、
【3】作家の人選は?
について。

端的に言いますと「非マンガ家」を選んでいます。理由は、これもこの記事の後半に詳しく書きますが、「マンガ家の方に発注して、既存のマンガ雑誌のようなものを作っても、先達にかなうわけがない」というところでしょうか。本当にザックリ言うとですよ!

そんなこんなで、COMIC MdNにマンガを描いてくださった作家(とその作品)を簡単にご紹介しましょう。

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まず、秋屋蜻一さん「アスタリウム旅行記」。

「アスタリウム旅行記」秋屋蜻一/まだ21才の秋屋蜻一が描いた、初の商業マンガ。この造形力、そしてルックとしての印象の新しさはすごい。

秋屋さんはマンガはほとんど描いたことがなくて、本業は……イラストレーターって言っていいのかな? でもイラストもプロとしての経験はあまりないと思います。なんといってもまだ21才ですから。

マンガって、一番最初に目に飛び込んでくるのは「絵」ですよね。秋屋さんの場合、見た瞬間にもう言葉に出来ない絵の魅力と、圧倒的な造形力と、そして〈新しさ〉が兼ね備わっていました。それでマンガをお願いしたんです。
秋屋さんのマンガはこのあと、月刊MdN誌上で隔月で連載していきます。ぜひ楽しみにしていて下さい。

https://twitter.com/Akiya_kageichi/status/715893209923133440

秋屋蜻一さんがTwitterにあげていたマンガ。これを見て、編集部はマンガの発注を決めた

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次、北澤平祐さんの「ローカル」。電車に乗ることが苦手な女の子のちょっとした、でも本人にとっては大きな物語が描かれています。

「ローカル」北澤平祐/一見、ストーリーを描くのに不向きな、洗練されたグラフィカルな絵で、驚くほど感動的なストーリーを描ききったことに不意を付かれ、目から変な汗が。

北澤さんは超売れっ子のイラストレーターです。ここ1、2年で絵柄がペインティング(塗りの絵)からドローイング(線画)に変わってきていて、商業イラストレーターとして明らかにより多くの人に届く画風になった、と感じていました。
変化の季節にいる人って、絶対に面白いものを作ると思ってるんです。あと何より、北澤さんの絵は昔から、ファンタジックで物語性があった。こういう人がマンガを描いたらどうなるかも見てみたかった。

しかし、マンガのネームがあがってきて驚きました。ファンタジーではなく、日常のちょっとした物語が描かれてましたから。でも、元から彼が持っているサイケな一面も強く表現しつつ、最後はあの東日本の大震災を体験した人だったら心に染みる優しい、ほんとうに優しい着地点を見せる。このマンガも、8ページという小品ながらぜひ読んでいただきたいです。

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Bahi JDさんの「地球のマグノリア」は、宇宙飛行士のマグノリアが謎の生命体と出会い、一緒に戦うアクションマンガ。

「地球のマグノリア」Bahi JD/話題のアニメーター・Bahi JDが初めて描いたマンガ。アニメの絵コンテを思わすコマ運びに注目してほしい。

僕は若い頃、宮﨑駿さんや安彦良和さんのマンガを読んで、アニメーターが描くマンガって、どこかふつうのマンガと文法が違って面白いな、と思っていて。絵コンテ的というか、各コマで絵が止まっているというか。きちんと解析したことないので、適当な印象論で申し訳ないのですが。

なので、いまのアニメーターにマンガを描いてみたらどうなるかを見てみたかったんですね。ということで、アニメ業界の外側でも話題になっているアニメーター・Bahi JDさんにマンガをお願いしました。

Bahi JDさんの場合は、とにかくアクションシーンが見たかった。あのよく動くアニメーションを手掛けるBahiさんのアクションマンガが読みたかった。となると、読み切りという限られたページ数ながら、必要となる〈導入部分〉だったり、〈オチ〉だったりを描いてもらうのがもったいない。また、こちらもマンガの編集に慣れてないから、そこをうまく落とし込むディレクションもできなさそうだし。

ということで、いきなり「101話目」という設定で描いてもらってます。
これだと、一番描いてほしいところだけを描いてもらえる。

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そんななか、人気イラストレーター・loundrawさんには、マンガではなく、イラストの発注をしました。loundrawさんの場合、キャラクターよりも背景を含む世界観自体が主役だと思ったんです。なので、その世界観と共鳴する仕掛けを作ることで、より絵を魅力的に見せてあげられるのではないかと。

ということで、loundrawさんは、絵を4枚描き下ろしてもらい、それに合わせて詩人の最果タヒさんに4編の詩を書いて頂きました。

loundraw×最果タヒ/人気イラストレーター・loundrawが描き下ろした4枚の絵を見ながら、詩人・最果タヒがそれぞれに詩を書くという驚きのコラボ。

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というように、とにかく「非マンガ家」に、でもマンガを描いてもらったら面白そうな人に、発注をかけていくというスタイルを基本は取りました。

でもCOMIC MdNを読んで頂けたなら感じてもらえると信じているのですが、実験的な企画ではありますが、出来上がった本は、相当ポップな仕上がりになっていると思っています。

ということで、なぜ実験的かつポップなマンガ雑誌になったのか(というところを僕らが目指したのか)について、冒頭ですっ飛ばしていた
【2】どういうマンガ雑誌にしようと思ったのか?
という話をすることでフォローしていきたいと思います。

(編集部註:ここで次のページに続きます。本信編集長がここに改ページ入れろっていうので……)