『天然コケッコー』の世界で肉はどれだけ貴重なのか

2017/08/23 12:16

こんにちは。国府町怒児(こうまちぬんじ)です。
皆さんは、天然コケッコーという作品はご存知でしょうか。

天然コケッコーとは

天然コケッコーは、『コーラス』で1994年から2000年にかけて連載された少女漫画です。
木村という田舎の小さな村に、東京から転校生が来て、主人公の少女と恋愛関係になっていきます。
ただ、その他の日常生活の細かな部分などが満遍なく描かれていて、恋愛漫画という枠に収めきれない魅力があります。
作者は、くらもちふさこ。
少女漫画界で長らく活動を続ける大御所作家です。

非常に繊細に物語が進み、味わい深い作品なのですが、一箇所だけ気になるところがあります。
それは、この世界の住人はどれだけ肉に飢えているんだという点です。

天然コケッコーの肉

事の発端は、コミックス4巻です。
鈴木君という東京の男の子が、主人公の家にしゃぶしゃぶセットを送ってくるところから始まります。

(『天然コケッコー』4巻126p 参照)

しゃぶしゃぶセットが届けられたという知らせに対して、主人公の右田そよと弟の浩太朗は、

「しゃぶしゃぶ!?」
「聞いたことあるっ」
(『天然コケッコー』4巻126p 参照)

という反応をします。

ここで私は「ん?」となりました。
「聞いたことあるっ」という反応をするということは、実際に食べたことがないのか?と思うわけです。

(『天然コケッコー』4巻142p 参照)

さらに、たまたま客としてしゃぶしゃぶに居合わせた、村の男、シゲちゃんも
「しゃぶしゃぶ?なんかね?そりゃ」(『天然コケッコー』4巻142p)と不思議がります。

おいおいおい。
シゲちゃんは4巻時点で20歳です。
となると、20年の人生で一度もしゃぶしゃぶに出会っていないということになります。

(『天然コケッコー』4巻 143p)

肉自体に関してもシゲちゃんは、
「わしゃ肉なんて何年ぶりじゃろう」(『天然コケッコー』4巻 143p)というセリフを残しています。

私は、疑問に思いました。
一体この世界での肉は、どれだけ貴重品なんだ、と。

確かに、この地域は周りを海に囲まれているみたいな説明はありますよ。
肉を食べるためには、ちょっと都会の町まで出ることになるという記載も出てきます。
でも、しゃぶしゃぶを知らないという世界はピンと来ません。

何より、普段は何でも「遠慮せずどんどん食べんしゃい」と勧めてくる、
そよちゃんのお母さんとおばあちゃんが、肉をシゲちゃんに見つけられたときは…

(『天然コケッコー』4巻 141p)

微妙に顔が引きつるのです。
これはただごとではありません。

そこで、天然コケッコーのモデルになった場所から、肉の貴重さを推測していこうと思います。

天然コケッコーの舞台

(『島根県浜田市HP』参照)

天然コケッコーの舞台モデルは、島根県浜田市でほぼ確定とされています。
島根県浜田市は、「島根県西部の日本海を望む位置にあり、東は江津市、邑南町、西は益田市、南は広島県に隣接しています」(『島根県浜田市HP』 浜田市)。
「切り立ったリアス式地形と砂丘海岸の織り成す海岸線は、優れた自然景観と天然の良港をもたらしています」
「市には、浜田川、周布川、三隅川等の主要河川が流れており、水資源に恵まれ、河川の下流域には平地を形成し、市街地や農地が展開しています」(同)といった記載から、天然コケッコーの世界と同じく水産業に恵まれた地域であることが分かります。

(『浜田市のふるさと寄附特設サイト』 参照)

浜田市のふるさと寄附特設サイトによると、特産品リストの品数は、肉類22種に対して水産物109種と海の幸が圧倒しています。
主力品は、平成21年から市の魚としても指定されている、のどぐろです。

因みに、浜田市のふるさと納税受け入れ額と受け入れ件数は、全国でも上位です。
総務省『ふるさと納税現況調査』によると、平成28年度の受け入れ額と受け入れ件数は、1,655,364,429円と75,900件で、それぞれ全国の市区町村1,741団体の中で28位と23位を誇ります。
平成27年度に至っては、受け入れ額10位、受け入れ件数5位という結果を残しています。

(『天然コケッコー』9巻 104p 参照)

コミックス9巻の肝試し回に出てきた神楽のお面も、
8万円分のふるさと寄附をすれば、特産品としてもらうことができます。

平成17年10月に、浜田市、金城町、旭町、弥栄村、三隅町の5市町村が合併しています。

浜田市の肉事情

(『平成28年度統計はまだ』 参照 ※赤枠は筆者作成)

肝心の肉事情は、浜田市の出している統計情報から推測できます。
合併後のデータになってしまうのですが、まずは『平成28年度統計はまだ』で、田んぼや畑、牧場がどれだけあるのか見てみましょう。地目別総評価面積(民有地)は、総数386.81平方キロメートルに対して、田んぼ27.06平方キロメートル、畑14.18平方キロメートルで、牧場はなんと、0.09平方キロメートルしかありません。

(『平成28年度統計はまだ』 参照)

円グラフで示すとこうなります。
ほぼ0!

(『畜産統計調査 平成16年 市町村別データ』参照 ※赤枠は筆者作成)

さらに農林水産省の畜産統計調査でも、肉の少なさが分かります。
ここでは天然コケッコー連載時の実情に近くするという意味で、
合併前データで最も新しい平成17年2月のデータを使わせていただきます。

そのデータによると、肉用牛5戸30頭、豚は0頭となっています。
ほとんどないといってもいいくらいですね。
頭数を人口で割った比率にすると、より明らかです。

浜田市の割合は、
30(牛の頭数)+0(飼育豚の頭数)=30(牛と豚の頭数)
30(牛と豚の頭数)÷46001(人口)=約0.06%
(人口データは平成17年10月合併時の旧浜田市部分)
です。

対して全国では
1,663,800(肉用牛の頭数)+7,797,000(飼育豚の頭数)=9,460,800(牛と豚の頭数)
9,460,800(牛と豚の頭数)÷126,790,000(人口)=約7.5%
(人口データは平成29年2月確定値)
となっています。

人口に対しての肉が全国の約100分の1なんですね。

(『畜産統計調査 平成18年 市町村別データ』参照 ※赤枠は筆者作成)

平成19年2月1日時点での浜田市の豚に関しては、3戸15,300頭と大幅に増えていますが、
これは島根ポークで有名な金城町と合併したためです。

この例からも分かるように、地元で生産している肉は贈答用なんです。
つまり、地元民が日常的に買うための牛肉ではありません。

平成28年には、松永和牛を作っている松永牧場が浜田市に進出していますが、こちらも同じく外向けの肉です。
そして、全国展開しているコンビニやスーパーも見当たらない。

ということは、本当に誇張でも何でもなく、肉をめったに食べないという状況が予想できます。
しゃぶしゃぶを知らないまま成人するということがあり得る訳です。

まとめ

いかがでしたか。
天然コケッコーの世界で、いかに肉が貴重か、理解できたでしょうか。

最後にそんな肉が貴重な世界で、しゃぶしゃぶを一気に3、4枚掴んだらどうなるか見てみましょう。

(『天然コケッコー』4巻 144p 参照)

すごい剣幕。

参考資料
総合素材サイト ソザイング』(最終確認2017/8/12)
『天然コケッコー』4巻 くらもちふさこ 1996 集英社
『天然コケッコー』9巻 くらもちふさこ 1998 集英社
wikipedia 天然コケッコー
島根県浜田市HP
島根県浜田市ふるさと寄附特設サイト
『ふるさと納税現況調査 平成29年度』総務省 2017
『畜産統計調査 平成16年 市町村別データ』農林水産省 2004
『畜産統計調査 平成18年 市町村別データ』農林水産省 2006
平成28年度統計はまだ』 浜田市 2017
『国勢調査 平成17年 小地域集計(人口等基本集計に関する集計) 』総務省 2005
『人口推計』(平成29年(2017年)2月確定値,平成29年7月概算値)総務省 2017
(URL最終確認はいずれも2017/8/20)


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国府町 怒児
レペゼン大喜利のインターネット作家。込めております。