戌年なので『大きい犬』のこと

2018/01/17 2:34

いやはや、年が明けて、すでにこーんなに日にちが経ってしまっているとは……今更ですけど、あけましておめでとうございます。マンバ通信の伊藤ガビンです。本年もマンガを読む気持ちをブーストする記事・企画を作っていきたいと思いますので、どうかひとつよろしくおたのもうします。

いやあ、こんなに遅くなっちゃったけど、年明け一発めに書こうと思ってたやつ書きますね。スケラッコさんの『大きい犬』についてなんですけれど。なんせほら戌年なので犬の話からいってみようかと。

『大きい犬』は昨年発売されたマンガの中でも特に印象深い作品。スケラッコさんといえば『盆の国』という圧倒的な傑作があるわけだけど、こちらの短編集『大きい犬』の中身も粒ぞろい。

あ、やばい。この調子だとお屠蘇気分でだらだら書いてしまいそうなので、スケラッコ作品を読んだことない人は、表題作の「大きい犬」が無料公開されているので大至急読んできてくれ! 話はそれからだ。
ここから読めます

ふう〜〜、読みました? いいですねえ。なんど読んでもいいぜ。
というわけで、このマンガが好きな人は単行本を買って今年一年の幸福度を上げていきましょう。

宣伝おわり。さて、あとは余談をだらだら書かせていただきますよ。

スケラッコさんは『盆の国』のように普段は人に見えない存在を描いたり、「大きい犬」のように物理的な目玉や耳だけを使っていたら捉えられないその存在の大きさや声などを描いたりでできる、稀有な作家だなあとつくづく思います。安易に水木しげる先生の名前を出すわけにはいきませんが、見えないけれども確かにそこに息づいているなにかを描く才能に関して、水木先生が鬼籍に入られたことで心にポッカリ空いてしまった穴を、スケラッコさんのマンガに埋めてもらっているなあと感じたりもするのです。

『盆の国』に登場する死者や魂のような非日常の存在だけでなく、本来の妖怪たちのように生活に密着した(そして不可視で名付けようのない)存在までも、スケラッコさんの作品の中には息づいていて、たまんねえな、という気分になります。

表題作の「大きい犬」がスケラッコさんのデビュー作なわけですけど、なんでいきなりこれが描けるのだろうか。設定も、キャラクターたちの描写も素晴らしい。

僕はこの作品が特に好きなんだけど、なぜかというと、僕は犬って生き物に対して、こんな風であってほしいという気持ちに気付かされたからなんですよ。

超然として、どこかすっとぼけていて、いつまでもここにいるようでいて、自由にどこかに行ってしまってほしくもあり、それでもいつかまたどこかで出会いたいと思える存在。そして大きくて、ふかふかしてる。
最高じゃないですか。

実は僕は実物の犬はすこし苦手で、友人の犬はもちろん、かつて事務所に犬が住んでいた時なんかも、ついつい距離をおいてしまう。彼らは、飼い主に対して従順なところがあるでしょう。よく躾けられていたらなおさらに。

僕は動物全般に、というか人間ともそうなんだけど、俺なんかとは関係なく生きててほしいという気持ちが強くて、犬と飼い主の濃ゆい関係を保つことはできないと思っているんですね。

去年だかにバズった「犬にとっての人間は、人間にとってのエルフ」みたいな見立てがあるじゃないですか。

犬から見た人間は、自分たちより長命で、守護者である、というね。これは犬に親しみを持っている人にとってはかなりグッと来る見立てなんじゃないでしょうか。かくいう僕も、ふおっ、てなったんですけどね。そうか、わいら人間もエルフのように誇り高くあらねばな、と思ったりして。しかし一方で、いやどっちかっていうと犬のほうが俺のエルフになってくれたらええのに、とも思うんですよ。

この人間のせかせかした暮らしっぷりなどとは無関係に、もっと大きな時間の流れの中で生きててほしいよ! なんて思うんですよ。そうあってほしいと。

そしたら「大きい犬」の大きい犬がまさにそういう立ち位置だったので、わたしの気持ちにとても気持ちよくフィットしたのでした。犬にはこうあってほしいよな、と。

単行本『大きい犬』は短編集。バリエーション豊かで珍妙なストーリーが詰め込まれております。もう一話紹介しておきたいのが「七福神再び」という、七福神もの。とある事情で離ればなれになった七福神たちが、再び集まり車で旅に出るというお話です。

僕は七福神が大好きなんですよね。あの、日本の神様とヒンドゥー教や道教、実在の禅僧までごちゃまぜのところがいい。寿老人と福禄寿が同一人物(同一神?)だったりするのもいい。要するに、結構なぬるさというか、いい加減さが人間味を感じさせていいなあと常々思っているんですね。

そしたらこのマンガに出てくる七福神たちが実に人間臭いんですよね。
毘沙門がバイク乗ってたりとか、神々の息遣いが現実世界にしっかりと係留されている。
僕の持っている七福神のちょっと猥雑な、カオスを宿している感じをマンガの中に発見して、嬉しくなってしまった。

それはそうと! スケラッコさんに『大きい犬』についていくつか質問したところ、このような描き下ろしマンガをいただいてしまった!

犬に対するこの距離感、ますます親近感をもってしまいました。
というわけで、まだ読んでない人は『大きい犬』買って読むとよいと思いますよ。

現在スケラッコさんは、「平太郎に怖いものはない」という作品をトーチで連載中ですね。

それはそうとスケラッコさんの作るグッズもいい。なんなんだいったい。
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伊藤 ガビン

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