『あたしンち』のみかんはどれだけパーカーが好きなのか

2019/04/24 12:00

金曜日。
平日の締め括りとも言えるこの曜日には、アニメ界の王者が二番組あります。
ずばり、『ドラえもん』と『クレヨンしんちゃん』です。

サラリーマンや学生にとって平日とは戦いですので、金曜日の夜には気分を解放してくれるギャグアニメが観たくなるのでしょう。
この期待に、のび太くんとしんちゃんは長年見事に応えて来ました。
まさに金字塔。
今やその地位を脅かすのは容易ではありません。

でも、知っていますか?
一時期、しんちゃんを土曜日に退けた番組があることを。

その番組こそが!!!!
『あたしンち』なのです。

『あたしンち』とは

『あたしンち』は、読売新聞日曜版で1994年から2015年まで連載されていたマンガ作品です。
先述のように二度に渡ってアニメ化も行われています。

内容は、個性的な家族の生活を描いたギャグマンガです。
実際に作者の母親を参考にしたこともあり、細かい観察に基づいた笑いが散りばめられています。

私は、アニメの『あたしンち』を観ていたとき、「他のドラえもんやしんちゃんと何か違うな」と引っかかりを感じていました。
明確に何かが違う。
同じ家庭を題材にしているのに。
何なんだ。

それは長い年月、私の中で眠っていました。
が、つい先日!
『あたしンち』のマンガ版を読んでいたときにモヤモヤの正体に気が付きました。

それは…。

『あたしンち』に出てくるパーカー

(『あたしンち』 5巻38p参照)

パーカーが出てくることです。
完全なアハ体験。

何だそんなことか。
そう思われた方もいるでしょう。

でも考えてもみて下さい。
しんちゃんのキャラクターでパーカーを着てる人、いますか?
風間くん、着ません。
ボーちゃん、着ません。
無論、ミッチー&ヨシリンもです。

ドラえもんはどうでしょう。
ジャイアンもスネオも、なんならスネ吉兄さんも着てないですよね。

それどころか、サザエさんにもちびまる子ちゃんにもパーカー着用者は見当たりません。
ああいう家族のシリーズで『あたしンち』だけ。

私の違和感の正体は完全にこれでした。
クルーネックの世界に舞い降りた異端児。

みかんのパーカー率

(『あたしンち』 16巻52p参照)

原作を読んでいると、特にみかんがよくパーカーを着ているんですよね。
『あたしンち 公式ファンブック』にも、「みかんの定番ファッションといえば、フードのついたパーカー。何着も持っている」との記載があります。

あたしンちの実質的な主人公といえば、みかん。
みかんのパーカーを調べることで、作品の理解が深まるかもしれません。
ここは一つ、みかんがどれだけパーカーを着用しているのか調べてみようと思います。

レギュレーション

・みかんがパーカーを着ている回数を数える
・服装のカウントは、話数が変わったときと服装が切り替わったときに行う

(『あたしンち』 3巻24p参照)

・コートを上から着用している、コマが切れているなどの理由でトップスが分からない場合はカウントしない
・フードつきコートはパーカーとしてカウントしない
・コミックス版『あたしンち』1巻~21巻収録作品及び、『あたしンち 公式ファンブック』収録作品を対象とする
・現在の時間軸のみかんを対象とする(過去の話は集計外)

パーカーの登場回数

まずは、パーカーを着ている回数とその割合を明らかにします。
全体で126回ほどパーカーを着ていました。
公式ファンブックによると、みかんの登場話数は379話です。
話数に対しては、約33%ほどですね。

(服装で見たパーカーの割合グラフ)

服装全体で見ると、785回中126回(約16%)なので、もう少し下がります。
おや?と思った方、鋭いですね。

そう!
登場話数を服装のカウントが大きく上回っているんです。
なぜそんなことが起きるのか?

これは1話の中で日を跨ぐパターンが多いからです。
基本的に1日の出来事を描くドラえもんやしんちゃんとは対照的です。

パーカーの種類

(『あたしンち』 4巻117p参照)

次に、みかんの持っているパーカーの種類について調べました。
色の微妙な違いは判別が難しかったですが、色と半袖長袖について分かる範囲で分別しました。

長袖は、赤、ピンク、パープル、オレンジ、黄色、青、緑、黄緑、グレー、茶色と少なくとも10種類のパーカーを確認できました。
色の濃淡で細かく分ければ、さらに種類は増えていきます。

(『あたしンち』 19巻92p参照)

半袖のパーカーは、2回だけ登場しています。
しかも一枚はストライプ。
これはレアですよ。
よかったですね。

(『あたしンち』 17巻56p参照)

ベア研(テディベア研究会)で星を見に行った回は、本編で唯一色が分からなかったため、集計外にしています。
公式ファンブック収録作品も、モノクロのため、色については分かりませんでした。

パーカーの色に関して言えば、オレンジ色の割合が僅差ながら最も高かったです。
先述の通りパーカーは126回登場しましたが、その中で31回はオレンジのパーカーでした。
やはり、みかんという名前だからオレンジ色をイメージカラーにしているんでしょうか。
セルフプロデュースへの意識の高さを感じます。

特徴的な服装

各巻で気になった服装を見ていきましょう。

コミックス1~5巻

コミックス1~5巻では、180回ほどみかんが着替えていました。
パーカー出現回数は14回でした。

(『あたしンち』 1巻16p参照)

ごく初期に、ダボッとした白シャツにジーンズ姿が見られます。
爽やかながら、この時点からラフな格好が好きな傾向がありますね。

(『あたしンち』 1巻47p参照)

初めてパーカーを着たエピソードは、ベア研でのキャンプ合宿の回でした。
合宿とかあるんだ。

写真を撮ろうとして岩に登って、足を滑らせて濡れています。
臆すことなく危険な場所に行くのは、幼少期から変わっていません。

この後、濡れたパンツをバーナーで乾かそうとするも、目を離した隙に燃やしてしまいます。
みかんの抜けている部分や、意図しないお色気がよく出たエピソードです。

(『あたしンち』 3巻92p参照)

3巻では柔道着姿も見られます。
14巻で、岩木くんに柔道着を借りたエピソードにも繋がっているんですかね。

コミックス6~10巻

6~10巻では、みかんは207回着替えていました。
パーカーは、23回出現しました。

(『あたしンち』 8巻24p参照)

これぞみかんというオレンジのパーカーです。
いいですね。
一緒にいる、春山(等身の高いほう)は作品屈指の要注意人物です。
無意識に他人を振り回すので、非常に性質が悪い。

(『あたしンち』 8巻74p参照)

チェック柄のワンピースですね。
非常にレアです。
柄の中ではボーダー32回に対して、チェック柄は10回とあまり着ていません。
さらにワンピースもあまり着ないので、「ほう!そんな服も着るのか」と驚かされた回です。
目に焼き付けておいて下さい。

(『あたしンち』 10巻100p参照)

服装について語る回です。
この星型のセーターは二度と登場しません。
褒められたのに。

コミックス11~15巻

11~15巻では、185回みかんが着替えました。
パーカー姿は29回でした。

(『あたしンち』 11巻121p参照

実は、コミックス11巻はボーダー柄がみかんの中で爆発的に流行った巻です。
ボーダー柄32回の内、9回がこの巻に集中しています。

そんな中でもパーカーを差し挟むとは。
よほど好きなんだなあと感じます。

(『あたしンち』 14巻113p参照)

自販機で買った缶ジュースを腋に挟んで、冷たさを味わっているシーンです。
また出た!
無防備なお色気!

こういう「隙」みたいなのを見せることで、登場人物に共感が集まるんですよね。
巧みな演出です。

(『あたしンち』 15巻129p参照)

半袖のパーカー。
長袖の時期に比べて夏は圧倒的にパーカーが少ないのですが、その中での貴重な一枚です。

コミックス16~21巻

16~21巻の区間では、193回の着替えが見られます。
パーカーはなんと58回も着ていました。

(『あたしンち』 16巻17p参照)

出ましたよ、浴衣。
サービスショットですね。

(『あたしンち』 17巻5p参照)

長袖でカウントすればいいのか、半袖でカウントすればいいのか迷った回です。
パーカーでないものも一応裏で集計しているのでね。
今回は、長袖に入れてあります。

(『あたしンち』 17巻49p参照)

個人的に最もおしゃれだなと思った回です。
妙に大人っぽい印象があります。
内容は目のものもらいなんですが。

連載開始時には家の電話で連絡を取り合っていたのが携帯電話に変わっているのも、目を引くポイントです。

公式ファンブック

公式ファンブックでは、20回着替えがありパーカーは2回でした。
モノクロで色がないのが惜しいところです。

(『あたしンち 公式ファンブック』227p参照)

とはいえ、貴重なジャージ姿が見られる利点があります。
着こなしの野暮ったさにリアリティがあっていいですね。

まとめ

以上です。
やはりみかんはどこそこパーカーを着ていましたね。

(パーカー率の推移)

コミックスの1~21巻を4つの区間に区切ってみると、徐々にパーカー率が上がっていきます。
1~5巻では約7.8%だったものが、最終的に30%に到達するので、目を見張る上昇率です。
最初は探り探りだったみかんのパーソナリティが、「パーカー=みかん」のイメージに固まっていく過程を見ているようで興味深いです。

もしくは、パーカーが日本に取り入れられた時期が関係しているかもしれません。
wikipediaの『パーカー』の項目に、「日本で広く一般に着られるようになったのは、1990年代に流行したヒップホップファッションや、スケーターファッションの一アイテムとして取り入れられてからである」とあります。
つまり時代と連動して、みかん個人にもパーカーが普及していった様子がグラフに表れたとも考えられます。

これなら、時代設定が1970年代のドラえもんにパーカーが出ない一つの回答になりますしね。
しんちゃんは際どいですが。

そういえば『あたしンち』でもう一人、パーカーフリークがいました。
しみちゃんの占いで、みかんとの恋愛相性が非常によかった、彼ですね。
パーカーを好むという共通点からも相性のよさが垣間見えます。

誰かと言えばそう…

(『あたしンち』 18巻40p参照)

吉岡(同レギュレーションで19/48=約40%がパーカー)です。

参考資料(URL最終確認は2019/4/20)
『あたしンち』1~21巻 1995~2015 けらえいこ KADOKAWA/メディアファクトリー
『あたしンち 公式ファンブック』 2010 けらえいこ メディアファクトリー 
wikipedia パーカー

あたしンち(1〜21巻) | けらえいこ シリーズ情報一覧

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