岩城宏士『スモーキング 新装版』』について語るかまいたち・山内

巻数が短くて完結済み!一気読みできるおすすめマンガ|川島・山内のマンガ沼web

2022/07/22 12:00

麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、先日放送された「川島・山内の一気読みできるおすすめマンガ」を前後編まとめてお送りします(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。

日本初の青年マンガ誌はどうやって誕生したのか?

川島 今回の企画は「川島・山内の一気読みできるおすすめマンガ」! 巻数が少なくて既に完結しているおすすめマンガを紹介していきます。ではまず僕のおすすめから。『ルーザーズ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~』でございます。

 

『ルーザーズ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~』について語る麒麟・川島
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

山内 これ、僕知らなかった。

川島 このマンガ、全3巻でございます。山内さん、絵柄を見て何か気づきませんか? 作者は、今や日本を代表するマンガ家になりました、吉本浩二先生です。この作品は先生の得意技、ドキュメントマンガです。

 

吉本浩二『ルーザーズ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~』(双葉社)

  • 2017〜2019年「漫画アクション」にて連載
  • 単行本は全3巻
  • 「漫画アクション」は『ルパン三世』『子連れ狼』『じゃりン子チエ』など、数々の人気マンガを生んできた。そんな「漫画アクション」の創刊秘話。
  • 時は1965年(昭和40年)、まだ「マンガは子供のもの」だった時代。
  • 後の初代編集長になる清水文人(しみず・ぶんじん)は、青年向けの新しいマンガを世に送り出そうと日々もがいていた。

 

川島 清水文人、通称・文ちゃんは、マンガ雑誌の編集長をやっていて、新しいマンガ……大人でもない、子供でもない、青年が読むマンガをずっと模索してたんですよ。そういう雑誌を出したいと思っていたところに、ゴミ箱に捨てられていた「マニア」という同人誌をたまたま拾って、読んでみた。そしたらそれが「これこそが大人も読める、映画のようなアクションマンガになるんじゃないか」という画風だった。誰が描いたんやろ……と思ったら、加藤一彦くんという田舎の青年だった。これが後のモンキー・パンチです。

山内 えええええ、すごっ!

川島 海外の雑誌に影響されて、働きながら一生懸命マンガを描いてたんですけど、当時の日本では全く受け入れてもらえなかった。そんなときにちょうど新しいマンガを探していた文ちゃんと、需要と供給がバチーンと合ってマンガ誌の未来が広がっていく。青年向けのマンガで勝負しよう、行動(アクション)に移そうということで、新しいマンガ雑誌の名前は「漫画アクション」になったと。

山内 なるほど。

川島 それがめちゃくちゃ大ヒットしていくんです。モンキー・パンチという名前は、文ちゃんが付けたんですけど、加藤一彦だと、日本人が描いたとバレバレなんで、モンキー・パンチと名付けたと。みんなが汗流して、酒を飲みながらマンガのことを熱く語るというシーンなんて、やっぱり吉本先生の得意とするところですよね。顔の描き込みもしっかりしてるし。

山内 でもこの顔、『こづかい万歳』でお菓子見てる顔と一緒じゃないですか。

川島 この情熱をルマンドを見てる顔でも描けるのが吉本先生なんですよ。

山内 川島さん、吉本先生の親戚なんですか? 『こづかい万歳』が頻繁に出てきますけど……。

川島 俺、これでもだいぶ抑えてるほうですよ。『こづかい万歳』 4巻が発売中です。

 

山内 僕の一気読みできるおすすめマンガはこちら、『スモーキング』です。

 

岩城宏士『スモーキング 新装版』』について語るかまいたち・山内
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

岩城宏士『スモーキング 新装版』(少年画報社)

  • 2015〜2017年、「ヤングマガジン」にて連載
  • 単行本は新装版が上下巻で完結
  • 2018年、続編『スモーキング・サベージ』が「ヤングキング」で読み切りとして掲載。
  • 2018年より「ヤングキングBULL」にて連載中。
  • 法や国家では裁けない悪を裁きまくり、化けの皮を剥がす、4人の殺し屋で結成した神出鬼没の暗殺集団「スモーキング」。
  • リーダーは暗殺した刺青の皮だけを依頼者に届ける、剥ぎ師・佐辺ジィ。相手を素手で潰す喧嘩無敵の潰師・ゴロ。銃や爆薬の調達能力にたける物足師・八丁。劇薬調合のエキスパート、薬罪師・ヒフミン。
  • この4人が公園でホームレスになりすましながら暗殺依頼を請け負い、人の皮をかぶった悪魔たちを葬り去る超絶アウトローマンガ。

 

川島 このマンガ、山内のお子様ランチみたいなもんやん(笑)。大好きなのしかない。

山内 大好きなのしかないです。全部揃ってますから。めっちゃ悪いやつを倒していくという勧善懲悪的なマンガなんですけど、懲らしめ方がもうすごいんです。組長をターゲットにしているとしたら、だいたいヒフミン(劇薬調合のエキスパート)が排気口から睡眠薬を流して、組全体を眠らせる。そこに入っていって、もしまだ起きてて向かってくるやつがいたら、潰師のゴロ(喧嘩無敵)がボコボコにするんです。ゴロはもう強すぎて、腹立ったりしたら、口の中に両手を突っ込んで、顔を上下にパッカーンと開いたりするんです。

川島 何してんねん(笑)。

山内 八丁(武器調達のエキスパート)は相手が銃を出してきたら、「そんなん使ったらあかんやんけ」みたいなことを言いながら、ガトリング銃を出してくる。そうすると相手は「勘弁してください」ということになる。佐辺ジィは、相手がどんなに暴れても、綺麗に背中の刺青を剥ぐ。しかも麻酔なしで。

川島 剥ぎ師やから。

山内 剥いで、それをでっかい瓶にペタッと貼って、依頼人に届ける。今まで僕のおすすめマンガいいなと思った人は、このマンガ、100%当たりです。今まで番組で紹介してなかったんで、ツイッターやインスタのDMで「『スモーキング』ってマンガ、山内さんの趣味だと思います」みたいなメッセージが時々来るんですけど…………読んでるに決もてるやん(笑)。なんで俺がこれ読んでないと思ってんねん!

川島 そんなん言わんでええやん、ちょっと言うてあげただけやん。「決もてる」って(笑)。

レオンですか? いえレオンじゃないです

川島 続いては、これ1冊だけの作品でございます。『ちばてつや追想短編集 あしあと』。

 

ちばてつや『ちばてつや追想短編集 あしあと』
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

ちばてつや『ちばてつや追想短編集 あしあと』(小学館)

  • 2000年以降に描かれた貴重な自伝的読み切り作品を完全収録した追想短編集
  • 戦後の満州引き上げを描いた「家路」、マンガ家デビュー当時を描いた「赤い虫」、トキワ荘グループとの交流を描いた「トモガキ」、『のたり松太郎』の誕生秘話を描いた「グレてつ」などを収録。

 

川島 短編がいろいろ載ってるんですけど、僕がすごいなと思ったのが「トモガキ」って短編なんですね。自分がプロのマンガ家になれて、頑張っているときのお話なんですけど、ちば先生があるとき、ちょっとした悪ふざけがきっかけで大ケガをするんです。それでマンガがしばらく描けなくなるんですけど、でも連載はやっているので、雑誌には載せないといけない。ネームまではできている。じゃあ誰が絵を描くのか? 同業者はみんな忙しいし、無理じゃないか……となったときに、編集者が「マンガ家集団がいるトキワ荘に行ったら、何とかしてくれるんじゃないか?」と思いつく。

山内 おおーー。

川島 トキワ荘、とんでもないメンバーが揃っているんですよ。藤子不二雄のお二人、石ノ森章太郎先生、赤塚不二夫先生。鈴木伸一先生、よこたとくおさんとか、つのだじろうさんとか、寺田ヒロオさんとかがいるところに、この原稿を持っていく。最初は「いや受けられない。ちばてつやさんと交流ないし」と言われるんだけど、何人かのマンガ家の先生が、「いや、同じマンガ家なんだから助けてあげなきゃいけない」と言い出して引き受ける。熱い情熱を感じて、しびれるシーンです。先ほどの『ルーザーズ』もそうですけど、「昭和の時代、マンガ家の情熱はこういう感じで爆発してたんだな」とわかるマンガです。

 

山内 一気読みできるおすすめマンガ、僕の次のおすすめはこちら。『スズキさんはただ静かに暮らしたい』。

川島 表紙にさっそく銃と血が出てますね。

 

佐藤洋寿『スズキさんはただ静かに暮らしたい』
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

佐藤洋寿『スズキさんはただ静かに暮らしたい』(コアミックス)

  • 2014〜2016年「月刊コミックゼノン」にて連載
  • 単行本は全3巻
  • ある事件の犯人を目撃したことで両親を殺され、自分も殺されかけてしまう少年・仁輔。
  • その危機を偶然救った、隣の部屋に住む「ただ静かに暮らしたいだけ」と願う独身女性・スズキさん。
  • しかしスズキさんの正体は実は凄腕の殺し屋だった。
  • スズキさんは仁輔を仕方なくかくまい、犯人たちから逃げながら2人で共同生活をスタート。
  • 疑似家族生活をして寄り添うことで、次第に心を通わせていく2人。
  • 殺し屋・スズキさんと、両親の仇を討ちたい仁輔の家族ごっこ、その先にある2人の運命とは…。

 

川島 僕、このマンガまだ読んでなくて、あらすじを聞いただけなんすけど……これ、『レオン』じゃない(笑)? ジャン・レノの。

山内 「和製レオン」と言ってください。鈴木さんは殺し屋生活をしてたんですけど、ある程度お金もできたし、静かに暮らしたいと思っていた矢先、隣の部屋で何かゴタゴタが起きるんです。何が起こってるんだろうと思って、見に行ったら、仁輔の両親が殺されていた。しかも鈴木さんもその現場を見てしまって、仁輔をかばってしまったから、自分もターゲットにされてしまう。鈴木さんは本当に静かに暮らしたいんですけど、仕方なく相手を倒していく。

川島 鈴木さんはめちゃめちゃ強いわけね。

山内 それで終わりにしてくれたらいいのに、仁輔は両親を殺されてるから復讐がしたいと言うんです。鈴木さんの強さを見て、自分にも殺し方を教えてほしいと言ってくる。でも鈴木さんはちょっと母性が芽生えちゃって、「殺しなんかしちゃダメだよ」みたいに言うんだけど、優しさが芽生えたことで、鈴木さんに若干の油断が出てきて、仁輔が銃の扱いを覚えたりするんです。

川島 やっぱり『レオン』じゃない(笑)?

山内 『レオン』じゃないです。最後、鈴木さんが倒れてるところに敵がやってきて、鈴木さんがジャケットをパッとめくったらジャケットの内側に手榴弾が……。

川島 『レオン』やん。

山内 それは『レオン』でした。間違えました。けっこうグロいシーンもあるんですけど、『ガンニバル』ほどではないです。

川島 山内山内はしてない?

山内 山内山内まではいかないです。山内で止まってます。

読んだ後、ボーッとなるマンガ

川島 私が次に紹介する、一気読みできるおすすめマンガはこちらです。『春の呪い』。全2巻です。1巻が面白かったから、2巻で終わってしまってびっくりしたマンガです。

小西明日翔『春の呪い』
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

小西明日翔『春の呪い』(一迅社)

  • 2015〜2017年「月刊コミックZERO-SUM」にて連載
  • 単行本は全2巻
  • 「このマンガがすごい!2017」オンナ編・第2位
  • 2021年にテレビドラマ化
  • 夏美は最愛の妹の春を病で亡くした。
  • 春には親同士が決めた婚約者・冬吾がいた。
  • 父の再婚と義母に反発を覚えていた夏美にとって、春はたった一人の家族で、いつか2人で暮らす約束を支えに生きていた。
  • 冬吾と春が婚約してから、夏美は春を奪われたように感じ、冬吾を憎んでいたが、春が死んでしまった。
  • 春が亡くなった後、家の都合で今度は夏美と冬吾が交際することに…。

 

川島 姉の夏美は、妹の春と将来2人で暮らすつもりだったのに、婚約者の冬吾が出てきて、めっちゃ憎い、殺してやりたいとまで考えてしまうんです。しかし病で春は亡くなってしまう。19歳という若さで。春が亡くなってしまったことで、今度は家の都合で、夏美と冬吾が付き合うことなる。

山内 家の都合で?

川島 それで冬吾が夏美に「付き合ってください」と告白するんですけど、夏美はちょっとパニクってですね、「交際するのはいいんだけど、春と2人で行った場所に自分を連れて行くように」とお願いするんです。冬吾のデートによって、妹がどんな景色を見て、どんな気持ちになったのか、自分が知らない妹の部分を取り返していこうと。そういう関係だったのに、やっぱり冬吾に対してだんだん愛が芽生えてくる。それで夏美の中にはとんでもない罪悪感が生まれてくるわけです。大好きな妹の彼氏を取ってしまっているから。この状況、常識的に考えてどうなんだろう? 姉に彼氏を取られた側の気持ちってどうなんだろう? それが気になってスマホで検索するんです。「姉 彼氏 取られた」みたいなキーワードで。よせばいいのに。そしたら「お姉ちゃんに彼氏取られた、殺してやりたい」みたいなのがたくさん出てくるんです。

山内 ははあ。

川島 「やっぱりそうか。私は妹にとって最低なことしてるんだな」となって調べていくうちに、ひょんなことから妹がこっそりやってたツイッターのアカウントを見つけてしまうんです。「実はあのときこう思ってました」みたいなのが、リアルに出てくる。それを見て、あのとき春がどういう気持ちだったかというのがわかっていく……という感じで上巻が終わるんですけど、この恋の行方、そして『春の呪い』というタイトル、下巻で全て回収されます。いや、これなかなかちょっと読んだことない作品ですよ。普通に考えたら、ベタな展開だったら、「この2人付き合うでしょ」となりそうなんだけど、そんな単純なもんじゃないです。読んだ後、ボーッとなりますよ。

 

山内 次に紹介する、一気読みできるおすすめマンガはこちら。『VS EVIL』です。

川島 これもうやってるよ(笑)。この絵、見たことある。俺の吉本浩二をえらい言うてくれたけど、お互いスタンドを出してきてますやん。四方山先生、親戚なん(笑)!?

山内 親戚じゃないです(笑)。

 

四方山貴史『VS EVIL』(小学館)

  • 2018〜2019年「サイコミ」にて連載
  • 電子書籍のみ、全3巻
  • 『終の退魔師〜エンダーガイスター〜』でおなじみ、四方山貴史先生の作品
  • 主人公は女子大生・灰白(ほのしろ)あさひ。
  • ある日、あさひは新入生歓迎会で初めて飲むお酒に完全に酔いつぶれ、気がつくと男の怨霊に取り憑かれてしまっていた。
  • あさひに取り憑いた男の怨霊は生前の記憶を失っており、とりあえずあさひは彼のことを「怨(えん)」と名付け、成仏する手がかりを探すことに…。
  • あさひは怨のせいで、さまざまな怨霊たちと戦うハメに。
  • 怨が生まれたのは黄泉?それとも異世界?
  • 失われた記憶を探す怨霊・怨とあさひの戦いを描く、新感覚スタイリッシュ・ゴーストバトル。

 

川島 これは『終の退魔師』の前ってこと?

山内 前なんです。僕は全然読んでなかったんですけど、作者名を見たら「四方山って書いてるやん」と思って。それで読んでみたら、『終の退魔師』の前の話で、実は『終の退魔師』にめちゃめちゃ繋がってる話だったんですよ。

川島 『呪術廻戦』に対する『呪術廻戦0』みたいなことでですよね。

山内 たとえば『終の退魔師』で、「この人が行方不明になってる」って言ってた女性が、『VS EVIL』の表紙の女性なんですよね。だから『終の退魔師』のめっちゃいいとこで、この子と怨霊が多分出てくるんじゃないかなと。

川島 乙骨憂太やん。

スタジオで語る麒麟・川島、かまいたち・山内
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

山内 乙骨と一緒です。だから「NEXT呪術廻戦」なんです!

川島 どうしてもそこにいくんやな(笑)。

山内 で、この主人公の灰白さんも最後、倒れているところでジャケットめくったら手榴弾が……。

川島 『レオン』やん。

 

記念撮影をする麒麟・川島、かまいたち・山内
撮影/池ノ谷侑花(ゆかい)

 

次回放送は「4コママンガ王・第2代グランドチャンピオン・おほしんたろうご褒美企画」をお届けします。

 

(構成:前田隆弘

 


【放送情報】
マンガ沼 公式サイト
次回放送
読売テレビ●7月23日(土)深1:28~1:58
日本テレビ●7月28日(木)深2:59~3:29
「4コママンガ王・第2代グランドチャンピオン・おほしんたろうご褒美企画」を放送。
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