となりのマンガ編集部 第5回:月刊少年マガジン編集部 『チート付与魔術師』は早期終了するかもしれなかった

マンガの編集部に赴き、編集者が今おすすめしたいマンガやマンガ制作・業界の裏側などを取材する連載企画「となりのマンガ編集部」。第5回は講談社の『月刊少年マガジン』編集部を訪ねました。非常に長い歴史のある『月刊少年マガジン』ですが、筆者は現在の『月刊少年マガジン』でも最も古い作品である『鉄拳チンミ』が大好きで、子供のころに通背拳という必殺技を会得するために修行を行っていたのが思い出深いです。令和に熱く復活した『め組の大吾 救国のオレンジ』は、人気が高じてアニメ化が決定するなどホットな話題も。『DEAR BOYS ACT4』や『龍狼伝 王覇立国編』などベテランの長期連載から『サンダー3』や『宇宙の音楽』など才気あふれる新鋭まで幅広く注目を集める『月刊少年マガジン』の編集部にて、『少年マガジンR』のチーフを務める冨士川さんにお話を伺ってきました。

取材:マンガソムリエ・兎来栄寿


編集者になったきっかけは『もう、しませんから。

――最初に冨士川さんのこれまでの経歴や、主な担当作品など簡単な自己紹介をお願いできればと思います。

冨士川 私は社歴が15年目になりまして、ずっと少年マンガの編集をしてます。入社1年目からずっと11年間『週刊少年マガジン』編集部で働いておりまして、2020年の7月に『月刊少年マガジン』編集部に異動になり今3年目という感じです。現在の担当作品は、『月刊少年マガジン』誌上ですと『DEAR BOYS ACT4』、『新 仮面ライダーSPIRITS』、『水のリボルバー』。『マガジンR』の方で『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~』(以下『チート付与魔術師』)を担当しています。

――『週刊少年マガジン』では何を担当されていたんでしょうか?

冨士川 『週マガ』では3年以上担当させていただいた作品でいうと『ダイヤのA』、『はじめの一歩』。立ち上げた作品で言いますと『アホガール』、『徒然チルドレン』、『カノジョも彼女』。後は『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』というマンガも立ち上げました。

――冨士川さんがマンガ編集者になったきっかけは何かありますか。

冨士川 僕が高校生ぐらいのころに、マンガ編集者っていう人たちがいて作家さんの作品作りを手伝っているんだと知りました。当時、『週刊少年マガジン』の巻末に毎週『もう、しませんから。』っていう西本英雄先生のマンガが連載していましたが、ああいった作品の中で担当編集者が登場していたりして。裏方的な、担当っていう人たちがいるんだなと。そこを知れたのは一番大きいかもしれないですね。マンガが好きだったんで子供の頃は漫画家になりたいと思ったんですけど、全然絵が上手くならない。どうも漫画家にはなれそうもないなって中学生2年生くらいで気づいて、でも、どうにかして漫画に関わる仕事がしたいなと。そういったことを考えていた時に、アシスタントさんとは別に裏方をしている人がいるじゃん、こういうのだったらやれるかもしれないって思ったのがきっかけだったんだろうと思います。僕はずっと出版社で営業をやるなり、書店員さんなり、取次さんなり、何か出版業界に関わるところに就職活動していたのですが、その中の一つの選択肢として「編集部の人」が入ったというのはやっぱり大きかったですね。

 

今、『月刊少年マガジン』編集部が薦める3作品

――『月刊少年マガジン』と『少年マガジンR』のコンセプトの違いや関係について教えていただけますでしょうか。

冨士川 基本的には、まず『月刊少年マガジン』というものが本誌という位置づけです。月刊少年誌ってどこもそういう傾向がかなりあると思うんですけれども、やっぱりページ数が多くて雑誌が分厚いですよね。いろんな作品が載っているところが強みではあったんですけど、それでもやはり載りきらない作家さん・才能というのがたくさん出てくる。だったら増刊を出して、もっともっと誌面を提供していろんな作家さんに活躍していただこうと、『マガジンR』に関してもそういうコンセプトで始めたのだと思います。他の編集部なんかでは、新人さん育成がコンセプトの増刊で出ていたりしますが、『マガジンR』については新人さんもいらっしゃれば、ベテラン作家さんもいらっしゃいます。とにかく今、『月刊少年マガジン』編集部に来ていただいているいろんな作家さんに、1人でも多く活躍していただこうということで誌面を増やしたという側面が強いのではないでしょうか。

――確かに『月刊少年マガジン』も『マガジンR』も新人さんからベテランの方まで幅広くいらっしゃいますね。そんな月刊少年マガジン』編集部が今推したい作品3選を教えてください。

冨士川 『月刊少年マガジン』にも面白い作品・推したい作品たくさんありますが、僕が今『マガジンR』の編集チーフをやっているところもあり、一旦ちょっと『マガジンR』に絞らせていただきたいなと思います。僕が3年前に『月刊少年マガジン』編集部に来たとき、他の編集部では異世界ファンタジー作品をどんどん始めていて。『シリウス』が『転生したらスライムだった件』を筆頭に大成功。『週刊少年マガジン』でも『シャングリラ・フロンティア』を筆頭に大成功して…という感じだったんです。それで、僕も「『月刊少年マガジン』も異世界ファンタジーやっていきましょう!」ということでやり始めまして。その作品を『マガジンR』に載せていきました。なので、ちょっとそういう傾向の作品だけになっちゃうんですけど、三つ挙げますとまず一つ目が『Destiny Unchain Online ~吸血鬼少女となって、やがて『赤の魔王』と呼ばれるようになりました~』ですね。

こちらは作品の方向性でいうと『シャングリラ・フロンティア』のような、主人公がゲームの世界で入っていって冒険する作品なのですが、読んでいて「これは本当にゲームが好きな人に刺さる作りになってるな」と思います。主人公が最初に戦う強敵はモンスターなんですね。で、そのモンスターの倒し方それ単体で面白く読めるんですけれども、その後主人公は他のプレイヤーと戦っていくことになるんです。通して読んでいくと、一番最初のモンスターのバトルはゲームで言うチュートリアルだったんだ、と気づく。主人公にはこういう能力、こういう強みがあって、こうすることによって敵を倒すことができますよ。じゃあ、その上でこういう能力をもった敵プレイヤーたちとどう戦っていくんですか? という作りになっているわけです。僕も結構ゲームをやるのですが、それって正にゲームが提供する面白さと似ているなと感じていて。わかりやすいしのめり込みやすいし、ハラハラするなと。絵も本当にお上手ですし、全体的な完成度が非常に高い作品だと思います。

次の作品ですが、『最弱な僕は<壁抜けバグ>で成り上がる~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~』という作品がありまして。

こちらはどちらかというと、追放ものといいますか。ギルドから追放されてしまったけど一つだけ回避という能力を持っていった主人公が、その世界の中にあるダンジョン攻略のバグを発見して、それをきっかけになり上がっていくという作品です。画面の密度が素晴らしく絵に魅力があり、色々と目を見張る点はあるんですが、特に主人公が成長するスピードが本当にとんでもないんですよ。すごく弱いところから始まるんですけど、1巻を読み終わると「どんだけ強くなってんだ!?」というくらい強くなる。それがまず気持ちいいし、強くなってしまったら今度は無双が始まるわけです。逆に言うと無双が始まっちゃうと、じゃあどうやってピンチを作ってどうやってハラハラ感を演出するの? となってくるんですけど、それが「うわ、こんな展開になるんだ!?」「こんなふうにハラハラさせてくるんだ!」「こんな強敵が出てくるんだ!」という感じで本当に毎回毎回ちゃんと大きな驚きがあって、読んでいて爽快感だったり緊張感だったり、とにかく飽きさせないんですよね。

最後に、自分の担当作品も挙げておこうかなというところで、『チート付与魔術師』もおすすめです。

とにかく『チート付与魔術師』は六志麻あさ先生の広い心と、業務用餅先生の才能がケミストリーを起こして、見たことがない作品になっています。毎回毎回驚くような展開とかギャグとか、異世界ファンタジーマンガの型にはまらないような魅力があふれているんですが、僕が大事だと思っていることはそういう突飛なところとは別にあって。『チート付与魔術師』って登場人物それぞれの変化や成長を、ものすごく丁寧にしっかり描いているんですよね。例えばリリィというキャラクターがどういう風に立ち直っていくのかとか、マーガレットというキャラクターがどういう風に主人公たちの仲間になるのかとか。実はすごく王道の、人間のドラマを描いている作品だなと思っています。

なので僕は、この作品の宣伝文句によく「王道ファンタジー」と付けていて、それを見た読者の方々から「どこが王道だよ!!」って突っ込まれたりしているんですが(笑)。ただ、僕は大真面目なんです。冒険や仲間との関わり合いの中で、登場人物たちが成長して変わっていく様子、そこが本当に素晴らしいなと思っています。なので、自分の担当作品ですけど、王道ファンタジーとして『チート付与魔術師』おすすめさせていただきます。

月マガで異世界ファンタジーをはじめようとなった時に、一番最初に連載が始まったのがこの作品だったんです。第1話掲載時には、今のような大きな反響はなかったんですよ。ただ、すごく熱いファンの人たちがいらっしゃって。1巻が出たときも、売り上げ次第では早期終了という可能性がある中で、重版がすぐに決まったおかげで打ち切りを回避できたんです。それは、そのファンの方々が単行本を発売したらすぐに買ってくださって、熱心に「これ面白いよ」っていろんなところで広めてくださったおかげだと思っています。なので、もちろん新しく作品を知ってくださった方々も本当にありがたいんですけど、新連載1話目からずっと応援してくれた方々にはこの場をお借りして、改めて感謝申し上げたいですね。

――ちなみに冨士川さんご自身はどういうゲームがお好きだったり、やられていたりするんでしょうか。

冨士川 お恥ずかしいのですが、今は忙しくてなかなかできていません。それこそ、ずっとやれてなかったんですけど、この年末年始(※)は絶対『エルデンリング』やるぞと(笑)。もうThe Game Awards 2022をやってないなんてやっぱりダメでしょう!

※取材は2022年12月27日に実施しました。

 

一人一派の『月刊少年マガジン』編集部

――次に編集部への質問をさせていただきます。現在の編集部は何名くらいなのでしょうか。

冨士川 そうですね、『月マガ』だと15人ぐらいですかね。

――『月刊少年マガジン』編集部の中で現在流行っていることはありますか。

冨士川 本当に『月刊少年マガジン』って一人一派みたいなところが強くて。例えば『週刊少年マガジン』にいたときはワールドカップを皆で観ようみたいなことがあったんですけど、そういうこともなくて。皆それぞれ好きなことがバラバラで、なんか「皆これが好きでやってます」みたいなことはあまりないんですよね。ちょっとつまらない回答になっちゃいますけど。

――個性豊かな編集部ということですね。そんな『月刊少年マガジン』編集部が自慢できることを一つ挙げるとすると何でしょう。

冨士川 『月マガ』はやっぱり部員同士のコミュニケーションが密だと感じます。「こういうことがやりたいんですよね」って言ったらその話を周りに伝えて上の人に許可を取ってみたいなのも早くて、やっぱり小さい部署ならではの良さはあるなと思いましたね。例えば「この作家さんが今こういう状態なんだったらこういう企画やったらどうですか?」といった話し合いがすごくスムーズに行えるのもあって、それがいいところかなと。

――『シリウス』編集部さんも同様のことを仰っていましたね。

冨士川 やっぱり小さい部署ならではのフットワークの良さがあるんじゃないかなって思っています。

――続きまして、編集部の近くでお気に入りのグルメがあれば教えていただきたいんですけども。

冨士川 う~ん…すみません。自分がグルメでないのもあって、パッと出てこないです。「神保町はカレーが有名ですよー」みたいな名物メニューみたいなのも、このあたりは特にないんじゃないかな…。講談社の向かいにロッテリアさんがあるんですけど、その前はマクドナルドさんが入ってて。そのマクドナルドさんがなくなるタイミングがありまして。

――講談社中に衝撃が走ったと聞きました。

冨士川 その営業最後の日に行って、店員さんに「次って何が入るんですか?」って聞いたんです。そうしたら「いやあ……外食産業でうちが撤退したところに出店する企業さんはないんじゃないですかね」と(笑)。

――ものすごい説得力ですね(笑)。

冨士川 もうおしまいだ! と思ったらその後にロッテリアさんが入ってくれて。吉野家さんも来てくれて。もう心の底から来てくれてありがとうございます!って感じでした(笑)。

――それは嬉しさもひとしおですね。

 

『マガジンR』チーフが選ぶ人生の一冊

――編集者が繋ぐ思い出のマンガバトンということで毎回編集者の方の思い出のマンガ作品をお聞きしているんですが、冨士川さんにとっての人生の思い出の1冊を教えてください。

冨士川 『週刊少年マガジン』で一番最初に立ち上げた『アホガール』も思い出の作品ですし、担当した期間が一番長いのは『はじめの一歩』なんですよね。今の作品もそれぞれ思い出があり、難しいですね……。でも、ここはやっぱり僕の編集者人生が始まった作品である『ダイヤのA』にさせてください。

――では、『ダイヤのA』を挙げる理由を語っていただけますか。

冨士川 とにかく寺嶋先生にずっとご迷惑をかけ続けていた記憶があります。マンガを先生がどう作っていて、それを担当編集者はどうサポートしたらいいのか、みたいなことが全然わからないまま打ち合わせを始めました。

今でも覚えてるんですけど、僕が2009年の6月1日に『週刊少年マガジン』編集部に配属されたんですが、編集部に行くと僕の指導役の先輩がいて、その人が『ダイヤのA』の担当編集者の方だったんです。「早速だけど、僕が担当してる『ダイヤのA』に入ってもらいます」と言われまして。その当時単行本が15巻分出ていて、「まずこれを読んで打ち合わせに備えてください」と。そしてそのまま、その日に打ち合わせに参加したんですけど、特に何も喋れないんですよ。緊張もしますし。で、あまりに喋らないから寺嶋先生が気を使ってくださって「どういうシーンがあったら面白いと思いますか」とか「最近野球を見てて、このシーンがすごく良かったとかありますか」みたいな話を振ってもらったりしてもらったりするくらい。僕も小中学校で野球をやっていたのでプロ野球や甲子園は見てはいたんですけども、そういう視点では観てないんですよね。好きなチームが勝った負けた、ぐらいの適当な見方で見てるから全然覚えてない。だから話せないんですよ。とにかくもう何も喋れなくて、これヤバイな、どうしようかな、作家さんにも作品にも何のプラスにもなっていないなと思いながら、3年間担当させてもらっていました。

ダイヤのA』の連載は終わっちゃいましたけど、今でももう1回担当させてくれないかな~みたいな気持ちになるときがありますね。今なら少しくらい『ダイヤのA』のために働けるんじゃないかなと思ってて。ちょっとだけ、半年だけでも何かやらせてくれないかなってずっと思ってるという感じですね。

――いいお話すぎて、何だかもうそのお話自体をマンガで読みたくなりました。

冨士川 いや本当にそんないい話という訳でもなく、いろんな作家さんに御迷惑をかけてきましたが、特に『ダイヤ』は酷かったので贖罪がしたいというだけで…。僕が担当になった時、お話としては西東京大会の決勝戦、青道対稲実プレイボール直前。青道が念願の甲子園出場なるかという展開。両校の選手が見開きで並んでいるカラーから試合が始まるんですけど、そのカラーの原稿をいただくタイミングが最初の打ち合わせの時だったんですよね。稲実の1番から9番までスタメンが並んでて、8番と9番の名前がまだ決まってなくて。だから「名前決まってないから冨士川くんの名前を使わせてもらうね」って言われて。稲実の9番の選手が僕の名前になった。そういうのはやっぱり素直に嬉しいじゃないですか。

後は、とにかくいろんな有名プロ野球選手の取材をさせてもらったんですよ。「わ、マエケンだ!」とか、ミーハーなのでそういうのも楽しかった。でもそういう楽しい思い出とか、いろいろ良い経験もさせてもらったんだけど、その分何も『ダイヤのA』のために働けなかった。しかもかなり長期間そういう感じだったんで。今でもそうですね…『ダイヤのA』の雑用みたいなことがあったらやりますよ、ボール拾いやりますよ、という気持ちです。

――素敵なお話をありがとうございます。次の方へのバトンとしまして、同じマンガ編集者の方へ向けて何かコメントがあればお願いしたいです。

冨士川 マンガ編集者って仕事のやり方が一人一人全然違うって思っていて。マンガに対する考え方も違うし、仕事の進め方も違うし、いろいろその人その人のやり方があって、僕も本当もう10年以上やってるわけですけど、まだまだいろんな人の仕事のやり方から勉強していかないとダメだ、と思ってるところがあるんで、隠さずにいろいろ話してほしいなと思います(笑)。勉強させていただきます。

――何かお知らせなどありましたらお願いします。

冨士川 今年、『月刊少年マガジン』編集部は新しい媒体を作ります。『月マガ基地』というWEB媒体で、そこでもいろいろと攻めた連載を始めていきます。僕自身も連載待機している作品が何本もありますし、編集部一同、皆さんが面白いと言っていただけるようなマンガがたくさん載る媒体を作ろうと思って頑張っています。現時点ではそういう媒体になると確信しているので、ぜひ『月マガ基地』も読んでいただければ。『月刊少年マガジン』本誌とWEB媒体『月マガ基地』、ふたつをよろしくお願いいたします。

――最後に『月刊少年マガジン』読者とマンバ通信読者の皆さんに一言お願いします。

冨士川 『月刊少年マガジン』の読者の皆さんっていうのはものすごく熱くて、『月刊少年マガジン』をずっと買ってくださって応援してくださってる方が多いんですね。今のところ、僕は『月刊少年マガジン』の読者の方々に喜んでいただけるような仕事ができてるかと言われると、ちょっとまだ自信を持って「できてます」とお答えできないかなという感じなんですけど、『月刊少年マガジン』の方でも昨年末に『水のリボルバー』を立ちあげられて、他にも新連載待機している作品があります。自信がある作品ばかりですので、今後は少しだけでも喜んでいただけるのかなと。当然、自分以外の編集部員も頑張っていまして、これからも『月刊少年マガジン』はどんどん盛り上がっていきますので。変わらず熱い応援をお願いします。

マンバ通信読者さんに関しては、今って本当に雑誌だけじゃなくてアプリでいろんな出版社さんだったりとかWEB・ITメディアの方だったり企業さんだったりが参入してきて、連載している作品がものすごく増えて本当にすごい時代だなと思うんですね。僕が会社に入るときは出版不況と言われていて本の刊行点数はどんどん減っていって…みたいな話だったのが、今はコミックの刊行点数がどんどん増えていってるので、本当に面白い作品を探す、今話題になっている作品を探すだけでも大変な時代になっちゃったなと。そんな中で、マンバ通信さんのようなメディアを読んでいただいたら、今読むべきマンガっていうのが見つけやすいのかなと。今回取り上げた『月刊少年マガジン』編集部の作品はすぐ試し読みができるので、ご興味ございましたらぜひご覧になっていただければと思います。そこから、作品のファンになっていただけたら編集部員としてこれほど嬉しいことはありません。

――本日はどうもありがとうございました。


500号以上続いてきた『イブニング』が休刊となったり、『モーニング・ツー』がWEBへ移行したりと大きな変化が相次いでいる講談社ですが、そうした激動の時代でも新しい風を積極的に取り入れながら面白い作品・才能をひとつでも多く届けようと奮闘する冨士川さんの仕事へのバイタリティと謙虚さを感じました。また、そんな冨士川さんが所属するチームも、限られた人数であるが故の連携が上手く機能していることも伝わってきました。『マガジンR』での異世界ファンタジー作品第一弾が『チート付与魔術師』であったことからも、完全に攻めの姿勢であることがうかがえますが、そんな体制から生み出される新たな媒体『月マガ基地』には期待しかありません。来年には創刊から60年を迎える『月刊少年マガジン』、今後もますます素晴らしい作品を送り届け続けてくださることを楽しみにしながら筆を置きます。

 

以下は、取材時の写真です。

 
 
取材にうかがった年末、護国寺駅には『週刊少年マガジン』の年末年始広告が。
編集部ソファには素敵なアイテムも。『ましろのおと』も長期にわたり楽しませていただき感謝です。
 

記事へのコメント

>講談社の向かいにロッテリアさんがあるんですけど、その前はマクドナルドさんが入ってて。そのマクドナルドさんがなくなるタイミングがありまして。

>――講談社中に衝撃が走ったと聞きました。

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