連載
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アニメーション版「この世界の片隅に」を捉え直す(5)三つの顔
細馬宏通
2016/12/21 4:58
マンガ版「この世界の片隅に」の第15回、19年9月のこと。周作はうっかり家にノートを忘れ、すずが届けに行こうとする。普段着のまま出ようとするのを見咎めた径子にうるさく言われて、すずは着替えて白粉もはたき、すまし顔で出か […]
マンガ版「この世界の片隅に」の第15回、19年9月のこと。周作はうっかり家にノートを忘れ、すずが届けに行こうとする。普段着のまま出ようとするのを見咎めた径子にうるさく言われて、すずは着替えて白粉もはたき、すまし顔で出か […]
『ぴっぴら帖』『こっこさん』『日の鳥』。こうの史代の作品で、鳥は特別な位置を占めてきた。『この世界の片隅に』に表れる鳥もあちこちで不思議な印象を残す。中でも読後、間違いなく読者の記憶に残る鳥は、サギだろう。 マンガの […]
マンガのことばはテキストで、アニメーションは声。 そう書くと、いや、マンガのセリフだって話し言葉ではないか、という反論がくるかもしれない。しかし、たとえ話し言葉であってもそれはテキストである。その多くは抑揚や強弱や速 […]
マンガ「この世界の片隅に」には、「かく」場面が多い。鉛筆で、絵筆で、羽で。すずはかくことが好きだ。婚礼の日ですら、嫁ぎ先の片隅に居場所を見つけ、行李の前に座り込んで兄に絵入りのはがきを書く。祝いの席で出た食べものをひと […]
2016年11月、ついにアニメーション版『この世界の片隅に』が公開された。アニメーション好きばかりでなく、原作であるマンガのファンからも高い評価を受けている。2回あるいは3回観たという知人もいる。わたしは4回観た。名作 […]
わたしは1960年の生まれで、物心ついたときにはテレビアニメの『鉄腕アトム』(1963年)が始まっていた。いわゆるアニメ第一世代だ。少なくとも小学校低学年くらいまでは、原作のマンガよりも先にアニメを見るというのが普通だ […]